低用量ピルやミレーナなど、女性主体の避妊法には数多くの種類がありますが、その一つとして近年注目を集めているのが「避妊インプラント(皮下インプラント)」です。
避妊インプラントは日本の厚生労働省にあたるアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されているほか、世界保健機関(WHO)でもその効果・安全性が認められており、海外ではピルの服用や避妊リングなどに次いでポピュラーな避妊法です。
日本では未承認のため、まだ広く知られてはいませんが、国内メディアで取り上げられているほか、韓国で避妊インプラントを挿入する方も増え、認知度は徐々に高まっています。本記事では、避妊インプラントについて効果・メリット、挿入費用についてご説明します。
大宮駅前婦人科クリニックでは、18歳から40歳の方のみを対象に皮下インプラントの挿入を行っています。ご相談も承っておりますので、ご検討中の方はこちらよりご予約ください。
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避妊インプラントとは?
避妊インプラントとは、プロゲスチン(黄体ホルモン)を含ませた長さ4cm程度の棒状の柔らかいプラスチックです。皮下インプラントとも呼ばれ、二の腕の皮下に埋め込むことで約3年間、99%もの高い避妊効果を発揮するうえ、月経困難症の改善にも役立ちます。挿入している間は、約50μg/日の割合で主成分であるプロゲスチン(黄体ホルモン)が放出されるため、体内のホルモンバランスが変化し避妊が可能になります。
肥満症の方(BMIが25以上で健康障害を伴うと診断された方)は、避妊効果持続期間が短くなる可能性があるため注意が必要です。体重が80kgを超えている方は、診察時に医師にご相談ください。
インプラノンとは?ネクスプラノンとの違い
"インプラノン"とは、たくさんの種類がある避妊インプラント製品の中の1つを指します。1999年にイギリスの保健省でインプラノンの利用が許可されて以来、多くの女性に挿入が行われてきました。しかし製品の構造上、正しい位置への挿入が困難で、英国内ではインプラノンを挿入した女性の内、数%が避妊に失敗する例もありました。
そのため、インプラノンを製造する製薬会社MSDは、"ネクスプラノン(Nexplanon)"と呼ばれる改良型のインプラントを発売しています。
ネクスプラノンはインプラノンと違い、X線とCTスキャンを使用すれば正しい位置に挿入されているかが分かるほか、挿入時に使用する器具も、より正確な位置に挿入できるよう改良が施されています。
避妊インプラント料金表
診察料 | 3,300円 |
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避妊インプラント挿入 ※局所麻酔代込み |
98,000円 |
自院挿入の抜去 | 33,000円 |
他院挿入の抜去 | 55,000円 |
※避妊インプラントは自費診療のため、クレジットカードがご利用いただけます。上記は税込価格です。
大宮駅前婦人科クリニックはネクスプラノン(NEXPLANON)を使用
避妊インプラントには複数種の製品があり、それぞれ効果持続年数や挿入するインプラントの本数が異なりますが、ネクスプラノン(1本で効果3年)は100ケ国以上で使用されているメジャーなインプラントです。
避妊インプラントの3つの仕組み
- ・排卵が抑制される
- ・子宮頸部の粘液が濃くなる
- ・子宮内膜が薄くなる
皮下インプラントに含まれるプロゲスチンが体内に放出されると、妊娠を促す黄体形成ホルモン(LH)の分泌が抑制され、上記のような作用が起こります。
排卵が抑制されると、精子が体内に進入した場合も、卵子と融合できないため受精卵が作られません。また、子宮頸部の粘液が増すことで、精子の進入を防ぐ効果も期待できます。
仮に精子が子宮頸部を突破し、卵子と融合して受精卵になったとしても、受精卵のベッドの役割を担う子宮内膜が薄くなっているため、受精卵の着床が成功する確率は大幅に低下します。
多くの避妊方法と同様、妊娠を希望する際にはインプラントを取り出すことによって体内のホルモンバランスが挿入前の状態に戻ります。よって、インプラントの挿入によって不妊になる可能性はありません。
ミレーナと避妊インプラントの違い一覧
ミレーナと避妊インプラントの違いを7項目に分けて比較しています。くわしい内容についてはミレーナのページもあわせてご参照ください。
ミレーナ | 避妊(皮下)インプラント | |
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挿入場所 | 子宮内 | 二の腕(上腕三頭筋上)の皮下 |
形状 | T字型 | 棒状 |
大きさ | 3cm程度 | 4cm程度 |
含有ホルモン | レボノルゲストレル | エトノゲストレル |
効果持続期間 | 最長5年 | 最長3年 |
効果 | 避妊・過多月経・月経困難症 | 避妊・過多月経・月経痛の緩和 |
保険適用の有無 | 過多月経・月経困難症では保険適用 | なし |
避妊インプラントのメリット4つ
避妊インプラント(皮下インプラント)は、上記のようなメリットから世界各国で多くの人に使用されています。次からはインプラント挿入時の効果・メリットについてくわしく解説します。
1.3年間99%以上の避妊効果を発揮する
皮下インプラントの最大の特徴として、避妊効果が3年間継続する点が挙げられます。挿入は30分もかからず完了するため、身体的ストレスを感じにくいのも嬉しいポイントです。トラブルが発生しない限り、定期的なメンテナンスの必要がないため、複数回のクリニック通いが面倒な方や、忙しい方にもおすすめの避妊法といえます。
2.エストロゲン(卵胞ホルモン)が含まれていない
皮下インプラントには、エストロゲン(卵胞ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンが含まれておらず、プロゲスチン(黄体ホルモン)のみが含有されています。そのため、血栓症のリスクが極めて少なく、エストロゲンが原因で低用量ピルなどを服用できなかった方(喫煙者や肥満症の方)でも使用が可能です。
3.月経痛や過多月経が改善される
皮下インプラントには避妊効果だけでなく、つらい月経痛の緩和や、過多月経の改善効果も期待できます。ただし、挿入から約3カ月間は、体内のホルモンバランスの変化によって不正出血などの副作用が起こりやすいため、注意しましょう。
4.抜去すれば最短1週間で妊娠可能になる
皮下インプラントを使用している間は妊娠しない状態が保たれますが、挿入後に妊娠したいと思った場合は、3年以内であっても抜去が可能です。インプラントを取り出せばほとんどの方が1カ月以内に元のホルモンバランス状態に戻り、個人差はあるものの最短1週間で妊娠可能になる方もいらっしゃいます。そのため、インプラントの挿入によって不妊症になるリスクはほとんどありません。
避妊インプラントのデメリット6つ
- 1.短期的な頭痛、不正出血、気分の変動など
- 2.抜去時は皮膚切開をともなう
- 3.性感染症の予防には効果がない
- 4.日本では保険適用外のため費用が高い
- 5.体重が増えるリスクがある
- 6.一時的なニキビの悪化
避妊インプラント(皮下インプラント)には上記のような副作用・デメリットがあります。デメリットをしっかり理解し、納得した上でインプラントの挿入を検討しましょう。
1.短期的な頭痛、不正出血、気分の変動など
避妊インプラントを挿入すると、不正出血や頭痛、乳房の張り、気分の変動(感情的になる、涙もろくなる、気分が落ち込む)などの副作用が発生する場合があります。これらの副作用は一時的なもので、数カ月すれば身体がホルモンバランスの変化に慣れてくるため、だんだんと治まってきます。
2.抜去時は皮膚切開をともなう
インプラント挿入時は、挿入箇所周辺に内出血が発生するケースがあります。傷跡は針穴程度のため、すぐに目立たなくなりますが、抜去時は数ミリ程度切開を行い、インプラントを取り出します。抜去した側の腕は、24時間は圧迫のための包帯を、数日間は傷を保護するテープを貼る必要があります。抜去時にインプラントの継続を希望する場合は、抜去のタイミングで新しいものを挿入可能です。
3.性感染症の予防には効果がない
皮下インプラントはあくまでも避妊や、月経困難症の改善を目的として開発されたため、性感染症予防の効果はありません。性感染症に罹るリスクがある行為を行う際は、コンドームなどの避妊具を使用するなどの対策を怠らないようにしましょう。
4.日本では保険適用外のため費用が高い
日本では、皮下インプラントは厚生労働省による承認がなされていません。そのため、月経困難症の改善を目的としていても、保険適用で挿入を行えず、全額自己負担となります。アメリカやイギリスをはじめ、海外では承認している国も多く、保険適用となる地域もあります。
5.体重が増えるリスクがある
個人差はありますが、皮下インプラントの挿入により、体重が増加する可能性があります。これは、インプラントの主成分であるプロゲスチン(黄体ホルモン)の影響によるものです。体重増加の副作用は皮下インプラントに限らず、その他のホルモン療法でも一部の方に起こります。皮下インプラントによって副作用が現れた方も、増加した体重は平均で約1.3kg以下であったため、過度な心配は不要です。
6.一時的なニキビの悪化
皮下インプラントはホルモンバランスを調整するため、肌の状態を整える効能がありますが、一部の患者様の中には、肌荒れやニキビが悪化するなどの副作用が現れることも明らかになっています。これは、分泌されるホルモンが原因で皮脂が皮膚に溜まり、ニキビを引き起こすアクネ菌の繁殖を促すためです。肌荒れ・ニキビの悪化の可能性は患者様ごとに大きく差が出るため、ご不明点がある場合は診察時にご相談ください。
避妊インプラントの相場費用は?
国内で避妊インプラント(皮下インプラント)を実施しているクリニックのおおよその平均相場は15~20万円程度(麻酔代込)です。また、抜去時も1.5万~3万円ほど費用がかかるクリニックがほとんどです。
大宮駅前婦人科クリニックは局所麻酔代、挿入代合わせて98,000円(税込)で実施しています。お気軽にご相談ください。
避妊インプラントの挿入と抜去手順
避妊インプラント挿入の流れ
- ①診察
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皮下インプラントについて、効果や副作用などをくわしくご説明します。ご不安な点がございましたら、些細なことでも遠慮なくご質問ください。
- ②局所麻酔
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挿入部分(二の腕)を消毒して局所麻酔を行います。麻酔時には注射針による一瞬のお痛みを感じます。
- ③挿入
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専用の器具で挿入を行います。挿入は一瞬で完了するうえ、局所麻酔が効いているためお痛みを感じることはありません。挿入直後は二の腕の内側に注射針の跡が小さく残りますが、時間が経つにつれて徐々に目立たなくなります。また、数時間後や翌日に挿入部周辺に内出血が発生する場合がありますが、こちらも徐々に軽減します。
挿入にあたっての注意点
皮下インプラントを挿入した側の腕は、インプラント破損の原因となるため、脂肪吸引やレーザー治療などの美容施術や、血圧測定、予防接種が行えません。また、挿入部に強い衝撃を受けた場合、インプラントの破損リスクが高まるため、スポーツや運動の際には充分ご注意ください。
避妊インプラントの抜去方法
- ①診察
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診察にて、皮下インプラントの位置を確認し、切開する位置を決定します。
- ②局所麻酔
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二の腕を消毒して局所麻酔を行います。麻酔時には注射針による一瞬のお痛みを感じます。
- ③除去
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二の腕の皮膚を数ミリ切開し、インプラントを抜去します。局所麻酔が効いているため、お痛みは感じません。
- ④継続の希望があれば再挿入
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継続して皮下インプラントの使用を希望する場合は、切開部もしくは、新しい場所からインプラントを挿入します。抜去のみを行う場合には止血処置後に包帯を巻き、切開した部分が塞がるまで包帯や保護テープでケアを行います。止血後に切開部を数針縫う場合もありますが、局所麻酔が効いているため痛みを感じることはありませんのでご安心ください。
避妊インプラントのよくあるご質問
- 避妊インプラントで生理は止まりますか?
- A.避妊インプラントの利用者数が多いイギリスなどでは、挿入した女性の約20%に、経血量の減少や月経の停止が確認されました。しかし、避妊インプラントは月経を止めることを目的として作られていないため、挿入後も月経周期に影響を与えない可能性は大いにあります。月経日のコントロールには、ピルの服用が有効です。当クリニックでもピルを取り扱っているため、ご検討中の方はお申し付けください。
- 避妊インプラントは保険適用ですか?
- A.いいえ。避妊目的でなく、月経困難症の治療を目的にした場合でも保険適用外です。日本では避妊インプラントの承認がされていないため、自費診療になります。未承認薬というと危険なイメージを抱いてしまいがちですが、世界では政府機関や医療機関にて、その安全性と効果の高さが認められている避妊方法です。
- 避妊インプラントの避妊率はどれくらい高いですか?
- A.99%以上の高い避妊効果が3年継続します。インプラントを挿入している女性のうち、妊娠するのは100人に1人未満です。挿入後3年経過後は避妊効果が期待できないため、抜去タイミングを忘れないように、挿入を行った日を記録しておきましょう。抜去タイミングを忘れてしまった際は、インプラントを挿入した医療機関に直接お問い合わせください。
- 避妊インプラントはどこに入れますか?どれくらい痛いですか?
- A.基本的に、利き腕ではない方の二の腕の皮下に挿入します。局所麻酔注射の際に一瞬の痛みが生じますが、麻酔が効いてしまえば挿入時にお痛みは感じません。
- 避妊インプラントは授乳中でも挿入できますか?
- A.出産4週間後以上であれば、避妊インプラントの使用が可能です。乳児を対象にした研究でも、インプラント挿入中の授乳が、乳児の成長や発達へ悪影響を及ぼすリスクは確認されませんでした。
- 避妊インプラントはいつから効果がありますか?
- A.月経初日~5日までのインプラントの挿入であれば、直後から妊娠を防げます。月経期間以外に挿入した場合、約7日間は妊娠を防げないため、コンドームなどの他の方法で避妊を行いましょう。
- 韓国など他の場所で入れた避妊インプラントを抜去してもらえますか?
- A.はい。皮下インプラントが正しい位置に挿入されており、大きなトラブルが生じていない場合は、国内外問わず他院で挿入した避妊インプラントの抜去が可能です。診察にて挿入位置などを確認させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
- 避妊インプラントは腕以外に挿入できますか?
- A.いいえ、できません。避妊インプラントは、二の腕の皮下に挿入することで高い効果を発揮する長期作用型可逆的避妊法(LARC)です。そのため、挿入箇所は二の腕のみとなっています。
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2024/3/25
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